いのちの授業

 みなさんは,末期がんと診断されながら学校に通い,やせ細る自分の体を児童にさらけ出して,命の大切さを伝え続けた大瀬敏昭校長先生のことを知っていますか。大瀬校長先生は,神奈川県茅ヶ崎市の浜之郷小学校初代校長として,「学び合う共同体」という理念を実現する学校を創られた方です。浜之郷小学校は,創設以来の来校者数が2万人を超え,全国教育関係者から「浜之郷小は教師の希望です」と言わしめた学校で,今も年間150回を越える授業研究を行っている学校です。
 新しい学校を創り,その経営に心血を注いでいた大瀬校長先生は,自分ががんになり,余命3ヶ月と知ると,校長先生ではなく,1人の「教師」に戻って,治療に専念する道も,家族と最後の時を安らかに過ごす道も選ばすに,児童や同僚とともに過ごす道を選ばれました。
 子供たちの事が大好きな大瀬先生は、ご自分自身が教材となり学校へ通い、命のある限り子供たちに『命の授業』をされ続けたのだそうです。余命3ヶ月に対して,1年もの間,この命の授業を続けられた大瀬先生は,最後まで1人の教師として児童の前に立ち続け,その命の火を燃やしつくされました。
 大瀬先生は、ご病気になられて初めて分かったことがあるとの事。
「子供は明るくて元気が一番と、大人が思い込んでいます。でも本当は、子供は小さくて弱いものなのです。子供たちの痛みを分かち合うのが、大人の役目だと思います。」(『くまのこうちょうせんせい』あとがきより抜粋)
 この日記では,私が大瀬先生から学んだことを伝えることが十分にできませんので,興味をもたれた方は,ぜひ大瀬先生や,浜之郷小学校関連の本を読んでみてください。そして,そんな大瀬先生の生き様を絵本にしたのが、『くまのこうちょうせんせい』です。保健室ブログでも今後取り上げる予定です。大瀬先生のことを知った上で読むと,さらにいろんなことを感じることができると思います。(文責 岡寺)