人間は「〜である存在」ではなく「〜に成る存在」である

 今我が家族ではまっているテレビが,「相棒」です。杉下右京(水谷豊)と神戸尊(及川光博)の警視庁窓際コンビが難事件を解決していくのですが,その手法や考え方が多くの人々の共感を呼び,シーズン9まで作られ,この年末には映画第2弾が大ヒットしています。
 さて,大ヒットの理由をビジネスの世界から分析している本を読みました。杉下右京の「着想の原点」を4点から分析しているのですが,その中の一つに,「ヒューマンビカミング(human becoming)」というキーワードがありました。
 人間をどう見るかについて,野中郁次郎一橋大学名誉教授は,「プロセス理論」を提唱しています。これは,「人間を人そのものではなく,プロセスととらえる」という考え方です。杉下右京も,人間を「前科者である」「元過激派である」といった過去のレッテルを貼った見方,すなわち,人間を固定的な「〜である存在(being)」ではなく,未来に向かって常に「何かに成る存在(becoming)」という見方をします。だから固定観念にとらわれない。人の可能性を信じて行動する。そんな姿が,人々の共感を呼ぶのだろうと。
 私たちの仕事も,全く同じなのだと思います。特に子どもは,短期間で変化・成長します。まさに常に伸びている,何かに「成っていく」存在です。子どもたちの可能性を信じて,「何にbecominngするのがこの子のためなのか」「どうしたらbecomingするのか」を考え,指導していきたいと思います。本年もよろしくお願いいたします。(文責 岡寺)