勝ち負けというものさしを捨てる

 「今年の文化祭がすばらしかった」「新たな伝統を作った」と,様々な方から声をかけていただきました。私も,生徒のひたむきな姿に,胸を打たれました。また,合唱コンクールや,3年生の劇の表彰では,「最優秀賞」「校長賞」をもらったクラスの喜びの涙と,もらえなかったクラスの悔し涙を見て,胸が熱くなりました。「先生,校長賞もらえなくてごめん」といって泣きじゃくった生徒もいたようです。私は,『生きていてよかった』(相田みつを)という詩を思い出しました。

 「男が仕事をする時には常に捨て身でなければだめである。
  捨て身とは何も欲しがらぬことである。
  そんとく勝ち負けという人間の〈物さし〉を捨てることである。」

 「損得・勝ち負け」という結果重視の〈物さし〉では,勝者は一人で,それ以外は敗者です。しかし,本当にそうでしょうか。最優秀賞や校長賞を取れなかったクラスは,文化祭までの取組みの過程で,力を合わせること,あきらめないこと,目標を持つことなど,多くのことを学び,手に入れたのではないでしょうか。内容重視・過程重視の〈物さし〉を持てば,どのクラスも,胸を張っていいのだと思います。
 勝ち負けというものさしを捨てて,努力の過程を認め楽しみ,喜びや充実感を味わって,これからもさまざまなことに「ひたむきに」「前向きに」「さわやかに」取り組んで欲しいと心から願っています。(文責 岡寺)